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お散歩ムービー、三木聡監督映画「転々」

昨年の記事「2008年に観た映画で面白かった作品」で触れた、
「亀は意外と速く泳ぐ」(2005年)の三木聡監督作品を、新たに2作観た。

「転々」(てんてん)、「図鑑に載ってない虫」
どちらも2007年に撮られた作品。
まずは、「転々」についてこちらに書きます。


…………………………

●人生とは散歩だ(!?)。男二人で東京を散歩するほんわか叙情詩。
「転々」(2007年)

オダギリジョーさん主演。
一緒に散歩する役に、三浦友和さん。
全体的にあたたかい雰囲気の作品。他の作品に比べ、
ヒューマニズムをけっこう前面に押し出した作品だと思う。


「亀は意外と〜」と同じく、伏線をはりまくっているが、
ラストに向けた仕掛けは、ちょっとよめちゃう
ところがあって、残念。

しかし、三木聡監督作品ではおなじみのメンバーという
岩松了さん・ふせえりさん・松重豊さんのお三方が、
今回は、スーパーの職員の同僚役を演じられていて、
面白すぎる。絶妙!間が最高。
本筋とは全く関係ないが、
「ラムネ(液体)の中に、ラムネ(固形)を
入れたらどうなると思う?」と言って、
実験する場面もあるので、ここを観るだけでも楽しい。

…………………………

三浦友和さんは、あの伝説のアイドル山口百恵さんと
ご結婚された方。
年を重ねるごとに、じわじわ良くなっている
俳優さんなんじゃないかなぁと感じる。


私が好きな脱力系映画「茶の味」(2003年・石井克人監督)にも、
おかしな一家の中のまともなお父さん役として
ご出演されていたが、その時はまだかたい感じがして、
配役されたこと自体が意外だった。
(だからこそ違和感が印象的で、気になる。)
時が経ち、この「転々」では、
いい感じの空気を放出されている。
持ち味のかたさと、フニャフニャさがあいまった、
独特の三浦友和ぶしが確立されたような…。
ユーモラスな立ち振る舞いが魅力的。
劇中では、短すぎるポシェットのひもが、笑える。

この前終わったドラマ「流星の絆」では、
刑事でありながら殺人犯、という難しい役柄を
演じられていた。


(ちなみに、
ご長男がバンドのボーカル&ギターだそうで、
百恵ちゃんと友和さんの息子だということは
ずっと隠してたが、最近マスコミにバレて、
カミングアウトしたそう。バンド名は「Peaky SALT」。
ハウス食品『うるおい美率』CMソングに使われ
ご出演もされてる、あの人らしい。)


…………………………

で、この映画の主役の、
個性派俳優、オダギリジョーさんですが、
なんとなくこの方は、孤高のイメージのわりには、
いつも一緒に出演された俳優さんに支えられている
という印象がある。

「アカルイミライ」(2003年・黒沢清監督)では、
自身も尊敬している俳優さんだという、浅野忠信さん、
「ゆれる」(2006年・西川美和監督)では、
渾身の演技で臨んでいる香川照之さん。
(香川さんは脚本を読んだ時点で、これは自分の代表作に
おそらくなると予感し、持てる力の全てを注いだという。)
「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」
(2007年・リリー・フランキーさん原作)は、
まだ観てないけど、共演が樹木希林さんなので確実。

この「転々」も、三浦友和さんが横にいてくれるからこそ
面白い絵ができあがっているような、そんな感じがした。
案外、コラボレーションで見せる系の俳優さんなのかなぁ。
(しかし、ライフカードのCM「どーする?どーすんの俺!!」
は、オダギリジョーさん単独で面白い。)


そんな中、オダギリジョーさんの演じた場面で
一番良かったのは、主人公の精神が一気に解放されて、
思わず意味の無い声を出すという場面。
ボォ〜〜〜〜〜〜と、ホーメイの低音みたいな
声を出している。これは笑った。
(※ホーメイについては、過去の記事
「ホーメイ歌手 山川冬樹氏ライブパフォーマンス」
をご参照下さい。)


…………………………

また、この映画には、
キョンキョンこと小泉今日子さんが、
2人目の女房(浮気相手)という、おいしい役で
ご出演されている。

小泉今日子さんは、映画監督やら業界人から
「存在感が素敵!」と評判が高く、
ここのところ、映画を中心に活躍されている。
が、「転々」では、他の個性派・実力派俳優の面々が、
パズルのピースを上手いことはめていくように、
一つの不思議ワールドを作りあげている中で、
いまいち一人だけ、同じ世界の一員として
ハマりきっていないように見えた。
間とか表情とか言い方とか。言葉にならない部分。
「今の台詞、ふせえりさんだったら
もっと面白く言っただろうなぁ…」と私は思ってしまった。


むしろ、一緒に登場する、ふふみちゃんが良かった。
ちょっと頭おかしいけど可愛い、不思議な女の子、
ふふみの役を、吉高由里子さんが好演。
(金原ひとみさん原作・蜷川幸雄監督映画
「蛇にピアス」(2008年)で主演に抜擢された若手女優。
 こちらの映画はまだ観てない。)
今後の活躍が期待される。


最後に。
うだつのあがらない画家という脇役でご出演された
広田レオナさんも、いい味出されています。

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