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広告制作者とイラストレーターの共通意見

「広告ジム」という広告講座で講師の方々がおっしゃっていたことと、イラストのスクールでイラストレーターの講師の方々がおっしゃることは、共通していることもけっこうあるので、今年前半のまとめとして、書いてみました。



〜無理して摂取した情報は、身に付かない〜


●嫌いなこと、できないなーと思うことは、できない。無理しても意味がない。だから、自分の好きなものについてよく考えてみて、自分の好きなものを増やしたり、表現手法で得意なものを見つける。(TUGBOAT 川口さん)


●情報をとろうなんて思ったことがない。面白そうだなって思ったものをとりこんでる。生きてるだけ。意識して得たものは、血や肉にならないんじゃないか。(TUGBOAT 岡さん)


●わざわざ探さない。普通に生活していて、パッと目にとまる、心ひかれたものを覚えておく。(TUGBOAT 多田さん)


●興味もないのに引き出しを増やすのは、本末転倒。読んだら役立つと言われて買った本でも、自分が読みたくないなーと思った本の内容を、覚えていられるか?引き出しにできるかが大事。(TUGBOAT 麻生さん)


●その時に熱中することが大事。役に立つとか関係ない。ノウハウはあんまり考えても仕方ない。自分で考えることが大事。(元電通 野末さん)


●努力とか勉強というのは、とかく身につかない。好きなことが栄養になる。人の判断はジャマになる。人の評価はアテにならない。好きな映画・本などは、自分で見つける。(イラストレーター 和田誠さん)


●好きには努力がいらない。努力しなきゃ上手くならない、なんてウソ。好きなら勝手に情報摂取する。(イラストレーター 赤勘兵衛さん)

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無理に手に取らない。これがなかなか難しくて、私はついつい、これ読んどくべきかな、見とけば役立つかな、と悩んでうろうろしてしまう。でも、作る方法がバラバラなTUGBOATの4名が、共通して言ってることだったんですよね。




こちらは、ゲスト講師の小田島さんとイラストレーターの共通意見

〜欠点を直さないで、たくさん作る〜


●欠点を直しちゃいけない。文章は、“磨く・作る・直す”とかじゃなく、いっぱい書く。過剰なところとか欠落してるところとか、欠点が魅力的な人はいい。(コラムニスト 小田嶋隆さん)


●欠点を直す必要はない。そんな時間があるなら、いいところを見つけてたくさんいい絵を描くべき。自分の良さを知ってる・わかってるってことは、絵をわかってるってこと。(イラストレーター 飯田淳さん)


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これもすぐわからなくなる。自分のできないことや、改善点にばかり注目しがち。あれもこれもできなきゃだめ、あぁ自分てなんてできないんだ〜などと。大事な点が見えてないから、惑うんですね。




【「広告ジム」でTUGBOATの4名と他講師が言った印象的な言葉のいくつか】


岡さん
●必要なのは、「忘れがたい何か」を残すこと。

●本と映画は絶対的に必要。
一週間に、映画1本・本1冊。年間で、映画50本・本50冊をノルマと決めて、実行してる。
年末は、帳尻合わせるために、詩集が増える(笑)。冊数さえクリアすれば、ジャンル関係ないから。ノルマ好き。

●春は、人を最も不安にさせる季節だと思う。
CMのオリエンテーションで、先方から、春は楽しい季節と説明され、本当にそうか?と疑問に思った。説明したらわかってくれた。


川口さん
●学生時代、BRUTUS(ブルータス)毎週読んでる奴と読んでない奴じゃ、レベルがすごい違った。歴然としてる。雑誌は見といた方がいいのでは。


多田さん
●美術館で、ダミアン・ハーストの作品が、床にじか置きされてるのを見て、これだ、と思った。今は壁にかけるんじゃダメだなと。ちょうど、ユニクロのCMを考えている時で、服をじか置きすることを思いついた。

アイデアが反映された、ユニクロのCM(加瀬亮・妻夫木聡出演)


麻生さん
●主観でいい。人に意見を聞かない。自分が楽しいと思うことをよりどころにする。
●なんとなく形になっちゃった、という状態が一番やばい。


野末さん
●クリエイティブに向いてる人は、無駄なことしてる。
無駄な時間が大事。3日ずーっと同じこと考えるとか。空想したり、大事。


ゲスト講師 小田嶋隆さん(コラムニスト)
●あえて情報を遮断する。坂本龍一さんも言ってた。自分で表現できなくなる。
●批評眼ばっかりするどい人は、自分の書いたものを直しまくっちゃう。最後に作品が出てこない。


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多田さんの、現代アートを直接CM制作のヒントにした話は印象的でした。その日の授業で配布された資料の、ダミアン・ハーストの作品【母と子、分断されて】のことが、どこかでずっと気にかかっていました。縦に真っ二つに切断した牛がホルマリン漬けにされてケースに入っている作品。

数ヶ月たったある日、美術手帖に、その牛の作品が展示される、森美術館「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」を佐藤可士和氏が見学しながら語る取材記事が掲載されているのを発見。ダミアン・ハースト好き!と言ってました。広告作ってる人に好かれやすいんだろうか?美術手帖に登場してる可士和さんもすごい。ターナー展は本拠地のイギリスまで観に行ったこともあるという。(森美術館の展示は、そのターナー展の歴代受賞作品を一度に観れる、という企画。)

どのように牛を輸送して展示するのか。組み立ては、特設したテントの中、やり方は秘密、というのを読んで、そんなに展示準備が大変なら、もうしばらく来日しないんじゃないか!?と思い、会期終了日間際に焦って観に行きました。「母と子、分断されて」あった。液体の緑がかった青色が、すごく奇麗。白い枠のデザインも奇麗だった。こういうのって、入れ物が格好悪いと印象が全然違うだろうな、と思いました。会期の終わった展示の話を書いてすみません。
ちなみに、美術手帖にはダミアンではなく、「デミアン・ハースト」と載っていますね。

写真が見られる記事↓
真っ二つ牛来日「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」


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最後に。「文体模写」について。

「文体模写」
TUGBOATの岡 康道さん(クリエイティブ・ディレクター・CMプランナー)が、高校時代、クラスメイトの小田嶋 隆さん(現在コラムニスト)達とやっていた遊びで、一週間ある小説家の本を読みまくり、一週間後に、その小説家の文体をそっくり真似て文章を書く、というもの。
どれだけ、本人がいかにも書きそうな文章を創作できるかを、メンバー内で競う。


↓そして、初めての文体模写。済みませんやってみました…。


 今日という今日は、100発殴ってやらなきゃ気がすまないって気分なんだ。
 まじな話。
 くそったれな自分の絵に心底うんざりしちまったんだよ、まったくね。
 ばかばかしくって笑っちまうだろ、君。
 それで、これからはいくらかマシな絵が描けるようにさ、
 明日から毎日絵を描こうと思ったわけさ。正直なところ。

(村上春樹さん著『キャッチャー・イン・ザ・ライ』翻訳バージョンの文体模写)



『キャッチャー・イン・ザ・ライ』
野崎孝氏訳『ライ麦畑でつかまえて』を以前読んで、その独特な言い回しに最後まで馴染めなかった(サリンジャーが表現した1950年代の若者の空気感を、見事リアルに日本語に変換した翻訳と評判高いが、時代が流れ、今では古い喋り方になってしまっている)。
2003年に、村上春樹さんが新しく訳した本が出た。気になりつつも手をつけず。
最近やっと読み始めた。



こちらは、野崎さんバージョン。

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