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液晶絵画展 やなぎみわさんギャラリートーク

写真美術館で今開催中の、液晶絵画展。
やなぎみわさんのギャラリートークがある日に
行ってきました。
やなぎみわさんの出展作品の前にみんな集まって、
まずはキュレーターの方が展覧会の企画意図を説明し、
その後、やなぎみわさんと対談するという運びでした。
しゃべる人も聞く人も、一時間その場に立ちっぱなしという
なかなかしんどいイベントでしたが、面白かったです。



話の中心は、
現代アーティストの映像作品のフィニッシュはどこか?でした。


この展示では、シャープの最新技術を使った液晶画面に、
アーティストの作品を映し出すということを統一していました。
出展作品は旧作ばかりなので、つまり、過去に作家自身が完成させた時の
画面ではないもので映像を流しています。


以前、原美術館での個展
『無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語』
を、タイトルに惹かれて観に行った事があります。
その個展で、初めて発表されたという映像作品
(プロジェクターで投影されていたもの)が、
今回、最新のシャープの液晶に画面を変えて、
映し出されていました。



画像の縦横比はそのままで大丈夫だったそうですが、
画面外側の黒いふちと厚みが気になったそうで、
後ろの壁をグレーに塗り、なるべく中の画面だけが
浮き立って見えるようにしたとのこと。


じゃあ、作品って後ろの壁まで含めて作品?
画面のふちまで?
それとも、映像そのもののデータのみ?
といった疑問が出てくる。

外側も含めて作品だと、展示のたびに
作品が更新されているということになります。
しかし、映像データを収録したDVDを作品とし、
家庭用の画面で鑑賞しても同じものと言えるか?と
考えると違和感がある。


今回の展示は、やなぎみわさんのように、
普段、写真など映像以外の手法でも作っているような
アーティストを選んでいて、
映画のような、鑑賞者が座って初めから終わりまで
観るタイプの映像作品は意識的に除いているという。

なので、この、フィニッシュはどこかという問題に、
正面から問うている企画展ともいえる。
…ということらしいです。


やなぎみわさんは、
「液晶絵画展は一度きりだから面白い。
今後、液晶絵画展2なんてやらないでほしい」
と強くおっしゃっていました。

(シャープが「液晶絵画」という展示名の特許をとりたいと
言い出したので、美術館側でとった、というお話が
キュレーターさんから出たのもあり、強調されたのでした。
参加を依頼された時点では、この展示は一度きりなんです、と
くどかれたそうです。…しかし特許とったとなると、
またやりそうな雰囲気あるけど、どうなんだろう。)


…………………………

作品の前に、イスを置くか置かないか?
ということも作品の見せ方として現代アーティストが
こだわるべき点だ、というお話も出てきました。

キュレーターの方が、「このやなぎみわさんの作品に関しては、
イスは置かない方がいいだろうと判断したので、置いてません。」
と言ったら、やなぎさんが、「そうですね、置いて欲しくないです。
置かれてなくてよかったです。」と返してました。
ほっとした瞬間。
聞いてるこっちもちょっと緊張しました。

こうした感じで、やなぎみわさんの作品に対するこだわりと
責任感が会話のはしばしにあらわれていて、
ピリっとした緊張感が気持ちいいトークイベントでした。


…………………………

やなぎみわさんは、ギャラリーでのトークは
初めてとのことでした。
現在、神戸芸術工科大学で生徒さんに教えているみたいです。


前にたまたま雑誌に載っているアーティスト写真を見た時に、
ご本人がまさに『信じられない物語』的なお顔立ちだったので、
印象に残っていました。
とても美人だけれど、どこか非現実的で不思議な感じ。
こういう人って本当にいるんだろうか…?
写真だからだろうか…?と半信半疑でした。
そしたら、写真の通りの方がやってきたんです。
びっくり。本物でした。



このギャラリートークの記録が写真付きで載ってる写真美術館の人のブログ
(対談したキュレーターさんのかもしれない)

私が見たのとトリミングとか色合いは違うけど、同じ写真が載っているサイト

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