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「イラストレーション」は、主に広告業界で使われるデザイン用語だった。

(※この記事には、ご本人に読んでいただけた後に書いた、続編の記事があります。)


先週聞きに行った、イラストレーターの都築潤(つづきじゅん)さんの
「イラストレーション史」という講義が面白かった。

講義は、イラストレーションとは何か、というところから始まり、
時代順に代表的なイラストレーターの紹介があったりした。


まずは、
「イラストレーション」とは、印刷されたビジュアルのことである、
というお話があった。
写真も、昔はイラストレーションと呼んだという。

マスメディア上で機能するビジュアルであれば、全てイラストレーションである。
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画も、ポスターに載れば「イラストレーション」になる。
「広告でイラストレーションに使ってる」という言い方になる。
グラフィックデザイナーが描いた幾何学模様もイラストレーションに入る。

絵の性質を問う意味は、この言葉には含まれない。
あくまで、印刷された状態のことを呼ぶ。
つまり、イラストレーションと呼ぶべき絵のタイプがあるわけではない。
(「私の絵はイラストレーションじゃなくてアートだって言われるんです…」
と悩む人がいるが、気にする必要はないという。)

そして、勉強を積んできたデザイナーの中には、
そう思っている人が、けっこういるとのこと。 ex.佐藤卓さん


いわば、音楽の「BGM」と同じ使い方だと思ってくれと。
この都築さんのおっしゃった例えが、素敵でわかりやすい。
モーツァルトの曲が店で流れてきた時、
それを「芸術か?BGMか?」とは考えない。それと同じという。


私が個人的に、聞けてよかったのは、
「イラストレーション」という言葉は、もともとは、
主に、広告業界で使われるデザイン用語だった、という話。

自分はコピーとイラストレーションを少しやってきて、
それらは、ものを作るという意味ではひとくくりだけども、
直接的な仕事の繋がりとしては、
「時にイラストレーションが広告に使われることがある」というぐらいしか
関係がないと感じていた。
広告はコピーとデザインでできている。
必要になった場合のみ使われる、イラストレーション。
企画に乗っかる、パーツにすぎないような気がしていた。
しかし、
もともとイラストレーションが広告のビジュアル全般を指すのであれば、
コピーとイラストレーションは、広告の二大要素。
イラストレーションと広告を同時に学ぶことは、自然なことなんだなぁ、
という発見があった。

(以前、グラフィックデザインとイラストレーションは分かれていなかった
からなんだけど。)


………………………………

今はイラストレーションは雑誌や本に載る方がさかんだけれど、
それはイラストレーターが一般に認知されるようになった時代に、
出版業界に進出し、挿絵画家の仕事を奪ったからだという。
時代が変化し、不況のあおりを受けて、
現在イラストレーションは、発祥の地である広告業界で、不要になりつつある。
ほとんどのビジュアルはデザイナーが描いているという。
抽象はほとんど。具象も描いたりする。
…やっぱり描けるから描いちゃうよねぇ…。デザイナーの方が上手い場合もあるし…。

デザイナーがわざわざイラストレーターに頼むのって、
結局、「その人しか出せない味」が欲しいときかなぁ。
(コンセプトに合わせて完全にタッチを描き分けるイラストレーターもいて、
それってデザイナーが描くのと同じことになりそうだけど、やっぱり
わざわざ依頼したくなるような味があるんだろうなぁ。)
しかし、クールで整理されてるのが気持ちいいこの時代には、
味って、必要ない場面が多い。
次は、また味わいが求められる時代がきませんかねぇ…。


味わいといえば…
「あじわいねこ」  「こんがりうさぎ」

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