むーと鳴いてます。(muuuuu.net)


イラストレーションは独学。

今週、イラストレーターの安西水丸さんの講義があった。
やはり、面白くて勉強になった。講評時の各人へのアドバイスが的確。


安西水丸さんは、村上春樹氏の文章の挿絵を長年描いていたり、
イラストレーションの他には、絵本を描いたり、小説を書いたりしている。
イラストレーターになるために、電通でデザイナー4年半→ニューヨーク2年→
帰国後に平凡社の編集者になって依頼する側の経験を積み、
フリーのイラストレーターになるという経路をたどっている。

私は、そういう経緯とか、考え方とかが、何かしっくりきて、素敵だなぁと
思うのだけれど、しゃべることも面白い。
そして、イラストレーション自体も好きだなぁと思った一番のきっかけは、
村上春樹氏との共作「村上かるた うさぎおいしーフランス人」の表紙の絵である。
店頭で見たとき、
えっ!?
えっ!?いーの!?
とびっくりした。だってあのうさぎ…。見て下さい。すごいです。グっときます。

実物の方がいいけど、こちら表紙画像。帯もいい。



講義の内容を一部ピックアップ。


「イラストレーションは独学。」

いろんな人の絵を見て、真似して、学ぶ。
デッサンを勉強して、美術教育の概念にはまり込んでしまうと、
自分の絵が描けなくなる。小学校の頃の自分じゃない。
絵は、本当の自分で描くこと。

安西さんがおっしゃる通り、私もデッサンを勉強し始めた高校時代から、
見事に描けなくなっている。
私の場合、描きたいもの・作りたいものがなくなってしまった。
大学では、イラストレーションに関してはいっさい教わっていない。
取り戻すにも、生み出すにも、やっぱり独学なんだぁ…。
絵が描けなくなってから、小学校の頃の「描きたい」という素直な衝動を
取り戻したいという思いがずっとある。(描くのが好きかどうかすらあやしい。)
練習するしかないんだろうなぁ…。


その他。

「普通なんだけど、何かあるな、というのが良いイラストレーション。
 『あの人の絵っていつもあんな感じだけど、何かいいわ』って言われるように。」

「イラストレーターになりたい人は、デザインを勉強していないとどうしようもない。」

「いろんな作品見るっていうのは、精神が見てないと。肉体的に見てもだめ。」

「人が描けるような絵を描いてたって、どうしようもない。」

「どーでもい〜や〜って描いたときに、案外その人の良さが出る。」

「上手い下手じゃない。大事なのは、その人の味。他の人に描けない味。」




【自分の講評の内容】

普通の紙に描くと、普通になっちゃうみたいだ。
もっといろんな画材を試して。画材じゃないものも使ってみた方がいい。
ガラスに描くとか、板に描くとか、フェルト切るとか。

(安西水丸氏のアドバイスが的確なのは、他の人の講評を聞いて十分わかっている
つもりが、いざ自分が言われると動揺する。絵がつまんないんだ…線が面白くないんだ…。)

「珈琲でこんがり。」に関しては、この紙とボソボソしてる線が違う、とのこと。
(今回、初めて購入したアルシュという高級紙と、
鉛筆とクレヨンの中間のような画材を使って、線を描いてみたが、
試す方向がてんでダメだったようだ。)




そして、講義終了後に、初めて作品ファイル(主にむー)を見て頂いた。

講評時の絵に関してはほぼ丸ごとダメだったけど、ファイルの絵に関しては、
「これなんかは面白いとこあるけど…、まだ大きいところがつかめてないんだよね。」
(これ=「パパひげそり」
と、ちょっぴり面白いと言ってもらえたので、粉々に砕け散らなくてすんだ。
意見を頂いている間、緊張しすぎて、一瞬意識が遠のきそうになったりした。
ちょうどそんな頃、

「誰みたいなイラストレーターになりたいの?」
と聞かれ、ビクッ!となった。



「…安西さんです。」

この「…」の間に、いろんなことが頭の中を一気にかけめぐった。
ダメだしされたばかりの自分の超未熟な作品ファイルが、泳いだ目のはしに映った。
恥ずかしさと申し訳なさを乗り越え、告白すると、

「僕みたいになりたいなら、僕のような絵を描けばいいじゃない。」
と、おっしゃった。
「僕の絵を真似して描けばいい。」


うわ〜カッコイイ〜。これが巨匠なんだ…。
というわけで、真似してもいいと、ご本人に直接許可をいただけた。
ので、今後、真似して練習したいと思います。
似たような絵がアップされても、どうか著作権侵害などで責めないで下さい。


お話が一通り終わった時、最後に安西水丸さんは笑顔を向けてくださった。
目がとても優しかった。安西さんです、って答えて、ほんと良かった。
(「安西先生です」が本来正しい。帰宅してから気付いた。)




前半で紹介した「村上かるた うさぎおいしーフランス人」。
村上春樹さんの意外性のあるゆる〜いギャグと、安西水丸さんの絵が楽しめる本。
隠れた春樹本。水丸さんの絵を堪能できるという点で優れた一冊です。

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コメント

にやちょび (2008年07月20日)

もしかして重複してたら消して下さい。
一回送信したはずなんで助戸,反映されていないようなので。。
ムーさんの心情に共感です。
スゴく的確なことを仰ってましたね。
そして、ムーさんがとても素直なのがステキだなぁとおもいました。
もしご迷惑でなかったらリンクを張らせて下さい。

天沢もとき (2008年07月20日)

重複してないです、大丈夫でした。
読んで下さってありがとうございます!リンクもどうぞ!
安西さんやっぱ的確でしたよね。ここに授業の感想書くのってなかなか緊張するんですよね。自分がとんちんかんなこと言ってないかとか。共感していただけてよかったです。
いや〜高級紙アルシュは惨敗でした;

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